・壁倍率15倍の接合部

壁倍率15倍がOKとなると次に気になるのは接合部。実際設計するとどうなるか?普通の金物で作れるのかが気になります。

住木センター発行の中大規模木造の例題と比較しながら、高耐力壁15倍の接合部用の計算式をエクセルで組んで値が問題ないことを確認したうえで、各階階高3150mmの3階建て1スパンでエクセルと応力解析プログラムを比較してみました。

結果は例題のラーメン置換モデルやフレーム解析では接合部的には設計しやすくN値に近い標準接合部計算ではかなり厳しい結果になりました。


上の画像は接合部計算のエクセルですが、接合部の計算はN値計算のような方法では引抜きが大きく、ラーメン置換だと上記赤枠の中の値(最大約85kN)程度でおさまり設計できそうです。しかし中大規模木造の例題もそうですが反曲点が2階3階でかなり下がっており鉄骨造などの感覚からは1階の引抜きは別として2・3階の引抜き力の値は違和感があります。



上の二つの画像はフレーム解析モデルの結果。
上段は節点間ばねを軸材で模擬し壁はブレース置換したタイプで、下段は単純に壁のみブレース置換したタイプの結果です。上段の1階引抜きがラーメン置換モデルとほぼ同じ(約81kN)ですが、2階3階は結構違っていました。ばね考慮の有無で結構差がでます。
いずれにしてもラーメン置換モデルやバネを考慮したフレーム解析ソフトでは、一般的な木造の構造計算と比較すると結構手間です。

その他試しに上記モデルを4階にし1階を壁倍率20倍相当と想定し剛性&荷重を入れて計算したところ、1階柱脚の引抜きは120kN弱となりこれならば何とか設計できそうな気がします。(150KNのHDは必要かも?)
解析するには接合部の節点間ばねを表現できる木造一貫ソフトが出れば楽でしょうが、当面は時間がかかりそうです。